マリアージュな読書術vol.2 日本酒×DXに学ぶ、ムリのないDX化とは
2022年07月12日
TOPICS
- 国内の日本酒市場は縮小傾向だが、海外からは注目が集まっている
- DXとは、デジタル技術を活用し、既存のビジネスモデルの変革するための取り組みのこと
- 日本酒業界でも製造工程や販売・マーケティングにおいてDXが推進されている
- 無理なくDXを推進するポイントは、できるところからデジタルを取り入れること
テクノロジーの発展は、私たちの暮らしのあらゆる部分で変化をもたらしています。そうした変化に共通しているのが、これまであまり接点がなかった異なる分野がクロスし、イノベーションを起こしていること。世の中の変化や、最新のビジネスを追いかけるには、単一の分野だけを見るのではなく、多角的な視点でさまざまな分野に目を配っておくことが大切ではないでしょうか。
本企画「マリアージュな読書術」では、そうした異なるジャンルをかけ合わせることで生まれた新たなトレンドや世の中の変化に目を向けながら、「わたし資産」を増やすアイデアや、そこでの知見をさらに深める関連書籍をご紹介します。
今回のテーマは「日本酒×DX」。近年、海外での人気が高まっている日本酒ですが、パンデミックによる飲みの場の大幅な減少や、若者のお酒離れなどの理由から、国内での需要は低下し、酒造市場は縮小傾向にあるといわれています。しかし、そんな日本酒産業をDXで復活させようとする動きが各地で起きています。本記事では、DXの基本的知識を踏まえつつ、日本酒業界におけるDXの具体例を紹介します。また、UI銀行のパートナー企業である株式会社フライヤー様の書籍要約サービス「flier(フライヤー)」による、関連書籍の要約もあわせてご覧ください。
日本酒産業の現状とは? 国内の日本酒離れと、海外の日本酒フィーバー
現在、国内における日本酒市場は減少傾向にあるといわれています。その大きな原因は、若者を中心に、健康志向の高まりによって断酒する人や、お酒そのものを飲まない人が増えていること。さらに、新型コロナウイルスの影響で、お酒を飲む機会そのものが減ったことも日本酒離れを加速させている一因でしょう。2022年に発表された農林水産省のレポートによると、日本酒の国内出荷量は、1973年のピーク時では約170万klでしたが、2021年には約40万klまで落ち込んでいます。
反対に、海外市場では昨今、日本酒人気が高まっています。財務省貿易統計によると、2012年に約90億円だった輸出金額は、2017年には約187億円にまで増えています。さらに、世界各地の酒類見本市やコンテストなどに日本酒が出品されるほか、各国の酒類専門家が来日して現状視察やセミナーなども行われています。今後ますます、海外顧客をターゲットとした販売戦略の展開が予想されるでしょう。
日本酒業界を取り巻く状況や、日本酒づくりに関わる人々について詳しく知りたい方には、『世界のビジネスエリートが大注目!教養として知りたい日本酒』と『日本酒ドラマチック 進化と熱狂の時代』の2冊がおすすめです。
『世界のビジネスエリートが大注目!教養として知りたい日本酒』では、日本酒の銘柄紹介だけでなく製法や、日本酒を世界に進出させるための戦略まで、日本酒にまつわる情報が豊富に紹介されています。
世界のビジネスエリートが大注目!教養として知りたい日本酒
著者:八木・ボン・秀峰
出版社:PHP研究所
『日本酒ドラマチック 進化と熱狂の時代』では、筋金入りの日本酒好きジャーナリストである著者が、10年以上にわたり全国各地の日本酒の造り手たちを取材。蔵元だけでなく、多くの人達の手により日本酒が造られていることが分かる1冊です。
日本酒ドラマチック 進化と熱狂の時代
著者:山同 敦子
出版社:講談社
DX化を実現しないと、最大12兆円もの損失?
そんな日本酒業界でも昨今、DX化が進められています。DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語で、デジタル技術を活用して、これまでのビジネスモデルを変革させる取組みのこと。例えば、コロナ禍において企業で導入された、テレワークやWeb会議といった業務のオンライン化もDXの1つです。
日本でDXが推進されている背景には、「2025年の崖」と呼ばれる問題が関係しています。経済産業省が2018年に発表したレポートでは、DXに取り組まない場合、2025年以降、最大12兆円もの経済損失が生じてしまうと警鐘を鳴らしています。これを2025年の崖と呼び、政府は企業に対してDXの推進を行っているのです。
しかし国内企業の全てが、十分にDX化できているわけではありません。DXを推進するためには、人材の確保、システムの保守、運用にかかる費用などが必要です。そのため、まずは企業内で課題を洗い出し、DXによる解決が可能な部分から取り組むことが求められています。
そんな日本企業の急務ともいえるDXについて、より詳しく解説した書籍を紹介します。『未来IT図解 これからのDX デジタルトランスフォーメーション』では、国内外の主要IT企業の戦略策定に参画してきた著者が、DXの基礎と道筋を体系的に解説。ビジネスパーソンの指南書ともいえる1冊です。
未来IT図解 これからのDX デジタルトランスフォーメーション
著者:内山悟志
出版社:エムディエヌコーポレーション
DXは、低迷する日本酒業界を救う希望の光?
一見、デジタルとは縁遠いように思われる日本酒業界においても、DX化が進められています。代表的な取り入れ方としては、製造工程の一部分を自動化すること。ある酒蔵では、DX化により、これまで人力で行われていた、もろみ・麹などの温度管理を自動化することに成功。夜間作業の削減や、社内の情報共有がスムーズになるなど、酒蔵の働き方改革にもつながっています。
また、販売や流通においてもDX推進のためのシステムが導入されています。例えば、インターネット販売によるルートの確立や、顧客のニーズの把握・管理といったマーケティングでの活用です。DX化によって、顧客のニーズをサイトや商品により反映させ、品質やサービスの維持および向上が期待できます。
日本酒業界のDXは、コロナ禍により増えた国内の家飲み需要や、海外輸出の増加に向けた流通システムの確立などにも役立てられており、国内外それぞれのニーズに応えた対応策ともいえるでしょう。
一方、伝統産業では、長い時間をかけて技術を継承していく必要があります。味覚や嗅覚といった人の感覚に頼る部分も多く、単純なデジタル化では解決が難しい側面もあります。このような業界の特色とDXをどのように両立させていくかは、伝統産業だけでなく他の分野においても、今後の課題ではないでしょうか。
まとめ
近年、海外でも注目されている日本酒は、長年受け継がれた技術によって作られています。日本酒の魅力を後世にも引き継いでいくには、熟練の技を維持・伝承するための時間や労力が伴います。
しかし現代では、商品のライフサイクルが短くなっており、新しい商品を常に生み出す工夫や挑戦がこれまで以上に必要とされています。日本酒づくりのような伝統技術を時代に合った形で継承していくには、一連の工程を短縮化・簡易化・多様化することも必要となるでしょう。そのためには、DXが欠かせません。
もちろん、日本酒づくりの工程すべてをデジタルにする必要はないでしょう。手仕事の良さと、デジタル化のメリットを上手く組み合わせることが大切ではないでしょうか。例えば、味覚や嗅覚においては、熟練された人間の方が機械よりも上ですが、視覚の部分においてはデジタルの方が強みを発揮できます。取り入れられる部分から、無理なく少しずつ取り入れていくことが、DXを成功させるための重要なポイントかもしれません。
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デジタルが得意な人もそうでない人も、安心してご利用いただけるサービスづくりにUI銀行はこれからも取り組んでまいります。
企業プロフィール
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株式会社UI銀行
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