NEXERA×UI銀行 ビジネスで注目の「ゲーム学習」とは?(前編)
2024年09月17日
TOPICS
- ボードゲームを使った体験型研修サービスが増えている
- ゲーム学習は「体験」と「没入感」に違いがあり、学んだことが定着しやすい
- バリエーションがあり、研修で達成したい目的や、受講者のレベルに応じてカスタマイズが可能
動画や音声コンテンツ、アプリといった多様な学習方法が普及する中、エンターテインメントのように楽しく、そして効果的に学べる「ゲーム学習」が注目されています。そこには、「わたし資産」を増やすために不可欠な「学び」を促進する大きなヒントがありそうです。
そこで今回は、企業向けにボードゲームを使った体験型の研修サービスを提供している株式会社NEXERAの代表取締役社長・飛田恭兵さん、取締役CBO(最高ボードゲーム責任者)・山本龍之介さんのお二人にインタビュー。「ゲーム学習」から得られる学びや、学ぶことの意義、そして「ゲーム学習」を活用した「わたし資産」の増やし方などを伺いました。
※「わたし資産」とは、お金や家などの有形資産だけでなく、思い出や経験、人とのつながりといった無形資産も含んだ、私たち一人ひとりの固有資産を意味する、UI銀行オリジナルの言葉です。
ビジネスパーソンが活用する「ボードゲーム学習」とは?
UI未来Base:NEXERAさんは、企業向けにボードゲームを活用した人材育成研修サービスを提供されているとのことですが、具体的にどのようなサービスなのでしょうか?
飛田:当社が提供しているのは、ボードゲームを使った体験的な学びと講習がセットになった研修サービスです。例えば、「マーケティングタウン」というゲームでは、受講者は自ら経営者となって、架空の街で店舗経営を行います。このゲームを通じて、マーケティング・財務・経営戦略を自然と学ぶことができます。講習で知識をインプットし、ゲームでアウトプットする。これを繰り返すことで、実践的なビジネススキルを効率的に身につけることができるんです。
UI未来Base:ボードゲームを使った企業研修とはユニークですね。受けてみたくなります。他にはどんなゲームがあるのでしょうか?
飛田:キャリアデザインやマネジメント、BtoBビジネスを学べるゲームなどがあります。これらのゲームは、ベンチャーから大手企業、新入社員から幹部候補生まで、さまざまな職種・立場の方々に広くご利用いただいています。
UI未来Base:ゲームは自社で開発されているのでしょうか?
飛田:ゲームの企画開発・制作から研修のコーディネート、ファシリテートまで一貫して自社で行っています。すべてを内製化しているので、パッケージのバリエーションも豊富ですし、企業様が研修で達成したい目的や、受講者のレベルに応じてカスタマイズすることもできます。これが当社の強みですね。
UI未来Base:そもそもゲーム学習はいつ頃から行われているのでしょうか?
山本:何をゲーム学習と定義するかにもよりますが、大昔、人は狩猟や採集のスキルをゲームや遊びを通して学んでいました。人間が生きる術をゲームや遊びから学ぶのは、目新しいことでも特別なことでもないんです。
UI未来Base:人は昔から、体験しながら楽しく学ぶ効果を知っていたんですね。
飛田:一方、私たちが取り扱っているような研修・教育目的のボードゲームは、実は近年、急速に増えているんです。
UI未来Base:そうなんですね。背景には何があるのでしょうか?
飛田:いくつか要因はありますが、その1つがゲームに対する社会受容性の高まりです。家庭用ゲーム機の普及などで、子どもの頃からゲームに慣れ親しんできた世代が、生産年齢人口に占める割合が増えてきたこと。それにより、社会的に多様なゲームの在り方が受け入れられる土台ができ、eスポーツなどエンタメ以外でのゲーム活用も一般的になりました。
UI未来Base:確かに、eスポーツの普及でゲームに対する価値観は大きく変わった印象がありますね。最近では、人気YouTuberがボードゲームを紹介したりと、ボードゲーム自体の人気も上がっている印象があります。
山本:これまでゲームは勉強を阻害するものというイメージがありましたが、ゲームのポジティブな面が注目されるようになり、ゲーム学習の認知度も上がってきています。
能動的に夢中で学ぶから学習効果が高まる
代表取締役社長 飛田恭兵さん(写真左)、取締役CBO(最高ボードゲーム責任者) 山本龍之介さん(写真右)
UI未来Base:さまざまな学習方法がある中、ボードゲームで学ぶメリットとは何でしょうか?
飛田:たくさんありますが、一番は何といっても「体験できる」ことです。何かを理解したり身につけたりするには、実際にやってみるのが最も手っ取り早い。でも、すべてを現実で体験して学ぶのは難しいですよね。ボードゲーム学習なら、現実世界を簡略化した安全な環境で、擬似的に体験しながら学ぶことができるんです。
山本:例えば、マーケティング用語の「4P」「3C」も、言葉を知っているだけではなかなか使えませんが、ゲームを通じて「なるほど、こう使うのか」と体感することができます。
UI未来Base:そういえば我々も、過去に防災キャンプを経験して、体験による学びの効果を実感したことがあります。確かに、こうした体感を伴う学びは従来の学習方法ではなかなか得にくいものですね。
山本:もう1つ大きいメリットが「没入感」です。ゲームには、目標達成に向けてプレイヤーのモチベーションを高める仕掛けが組み込まれています。そのため、ゲームをすると自動的に集中力が高まります。
UI未来Base:なるほど。ゲームに夢中になっている子どもに「やめなさい」と言ってもなかなかやめないけど、それが勉強だったら、ものすごい効果がありそうです(笑)。NEXERAさんの研修サービスを初めて受講された方たちはどんな反応ですか?
飛田:これがうれしいことに、最初は「ゲームなんかで本当に学べるのか?」と懐疑的な方も、実際にプレイしてみると、休憩時間も休まず戦略を練り続けるくらいに没頭されます。
UI未来Base:研修で休憩時間も休まないくらい没頭するって、すごいですね!どんなにためになる良い研修内容でも、ずっと話を聴いているとどうしても眠気が…(笑)。
山本:ですよね。学び方1つで大違いなんです。
飛田:学んだことが定着しやすいのもゲーム学習の特徴です。例えば「マーケティングタウン」は、ルールに則ってプレイすれば経営の基本的な知識スキルが身につくように設計されているので、ゲームを繰り返すことによって、それを体感的に覚えることができます。体で覚えた記憶は「長期記憶」といって、一旦覚えたら、なかなか忘れません。また、ゲームは「勝ってうれしい」「負けて悔しい」などの感情を引き起こしやすく、感情を伴う経験も長期記憶に残りやすいとされています。
UI未来Base: 学習といえば自己学習が多い中、ボードゲームはみんなで取り組む楽しさもありますよね。そこから生まれる交流も豊かなわたし資産になりそうです。
山本:おっしゃる通り、ボードゲームはコミュニケーションツールとしても優れています。親睦が深まるのはもちろん、一緒にプレイすることで「マネジメントってこういうことだよね」といった共通認識を醸成できるので、認識のズレによるコミュニケーションロスを防ぐうえでも有効なんです。
UI未来Base: チーム内での共通認識が醸成されるのはとても良いですね。
ゲームのポジティブな面に社会も注目!
UI未来Base:そもそもお二人が学習ツールとしてボードゲームに着目したきっかけは何だったのでしょうか?
飛田:私は、大学の授業で経営を学べるボードゲームを体験したことです。このときにもう、びっくりしてしまって。それまで経営の知識は頭に入ってはいたものの、実際にどう使うのかイメージが湧かなかったのが、ゲームをすることで「こう使うんだ!」とすべての知識がつながり、経営の全体像が見えたんです。「ゲームってすごい!」と衝撃を受け、他の授業もすべてボードゲームで学べたらいいのに、と思ったほどでした。
山本:僕は子どもの頃からずっとボードゲームで遊んでいたんですが、大学生のときに、大学で学んでいる経済・経営の世界とボードゲームの世界は似ているなと、ふと気づいたんです。競合関係や需要と供給のバランスで変動する市場など、まさにボードゲームの世界観なんです。考えてみたら、ボードゲームとは、複雑な現実世界の一番面白いところを抽出して簡略化したもの。ということは、ボードゲームでどんな世界も表現できるし、難しい経済や経営の話もボードゲームにすれば、もっと分かりやすく、楽しく学べるのでは?と閃いたのがきっかけです。
UI未来Base:飛田さんは原体験、山本さんはロジック。それぞれにまったく異なるアプローチから、ボードゲーム学習に価値を見出されたんですね。お二人は事業を通して、どのような未来を実現していきたいですか?
飛田:私たちは「体験による学びを当たり前にする」を掲げ、「学び方」のアップデートを目指しています。学習方法には、本を読む、講義を受ける、動画を見る、音声を聴くなどさまざまな選択肢がありますが、いずれも受動的な学びです。知識のインプットだけでなく、本質的に理解できるようになるには相当な努力が必要です。そこで私たちは学びの選択肢に、擬似体験を通して能動的に学べるボードゲーム学習を加えたいんです。
UI未来Base:何かを学ぶときに、普通に「ボードゲームしようか」となるのが当たり前になったら、世の中が大きく変わってきそうですね。ゲーム学習への注目が高まっている中、NEXERAさんがこれから取り組んでいきたいことは何でしょう?
飛田:クライアントから「こんなこともゲームで学びたい」といったご要望をたくさんいただいているので、まずはそれに応えていきたいです。また、ビジネスパーソンだけでなく幅広い層に向けて、より幅広い内容のボードゲーム学習を届けていきたいですね。それこそ小さいお子さんからシニアの方まで、誰にも学びたいこと、学ぶべきことはたくさんありますから。
UI未来Base:我々もぜひ銀行や金融業界が抱えている課題を、NEXERAさんと一緒に解決していけたらうれしいです。
飛田:それはいいですね。例えば、UI銀行さんのお客さまに向けて、投資信託や新NISA、保険、ローンなどの「お金」について学べるボードゲーム・ワークショップを開催するのはいかがでしょうか。
UI未来Base:素敵なアイデアですね。ボードゲームを楽しんでいただきながら、金融リテラシーを高めたり、自分らしい方法で「わたし資産」を増やすためのサポートができたりするといいですね。
山本:ゲームにすることで「お金」にまつわる難しそうなイメージも払拭できると思います。金融に限らず、歴史、語学、哲学、スポーツなどなど、いろんなボードゲームをつくって多くの人に届けることで、みんなが楽しく深く、効率よく学べる世の中にしたいですね。
前編では、NEXERAさんがボードゲームによる学びに着目した経緯や、ボードゲーム学習の効果を伺いました。後編では、リスキリングブームなど「学び」がますます注目される現代において、NEXERAさんが考える「学ぶ」意義や、ボードゲームを活用した「わたし資産」を増やすアイデアなどを教えていただきます。
企業プロフィール
株式会社NEXERA
ビジネスゲームを活用した体験型の人材育成・研修サービスを運営。「体験による学びの場をつくる」をビジョンに掲げ、ビジネスパーソンに本質的な学びの場を提供します。会社経営の疑似体験を通じて、経営視点を学ぶ『MarketingTown』や、キャリアの疑似体験を通じてキャリアデザインを体感で学ぶ『CAREER MAKER』などを提供。総受講者数は15,000名を越え、大手企業からベンチャー企業まで幅広く導入されいます。
株式会社UI銀行
UI銀行は、連携パートナーやきらぼし銀行を始めとしたきらぼしグループ各社と協働し、対面・非対面それぞれの良さを活かした多様なサービスを通じ、お客さまのお金だけでなく、健康や知識、人とのつながりといった見えない資産=「わたし資産」を増やすお手伝いをしていきます。
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